太陽光発電事業670件取り消し 2014.2.15
太陽光発電の事業認定を受けたものの発電に必要な機器を揃えず発電事業を始めない業者が多いようです。その背景などについて紹介しています。
太陽光事業進めない業者、670件認定取り消し
太陽光で発電した電気の固定価格買い取り制度を巡り、経済産業省は、発電の認定を受けたのに事業を進めようとしない約670件の業者の認定を取り消す。
業者から事情を聞いた上で、3月にも初の取り消し処分に踏み切る。発電用の土地と設備のいずれかしか準備していない約780件についても、8月末までに両方を確保しなければ認定を取り消す方針だ。
同制度は、事業者が認定時に設定された価格で電力を電力会社に売れる仕組み。制度が始まった2012年度の太陽光の買い取り価格は1キロ・ワット時あたり42円と高めに設定され、電気料金に上乗せされている。
買い取り価格はその後、低下しているが、認定時点の高い価格で電力を売れるため、多くの企業が参入を表明。しかし、もうけが大きくなるように、太陽光パネルが値下がりするまで事業を始めない業者が続出していた。認定制度には発電開始の期限はないが、経産省は太陽光の普及の妨げになると判断した。
参考記事:読売新聞
現在の固定買取制度では、太陽光発電システムに必要な機器や設置予定の土地について事前に申請しなくても発電事業の認定を受けられることになっています。
そのため売電価格が高いうちに事業認定を受けておき、太陽光発電のシステム価格が下がりきるまで待って設置をしようとする業者が数多く存在しています。経済産業省によれば事業認定から1年以上経っても土地や発電設備を揃えていない業者が1/3以上という調査報告もあります。
そのような事業者に対して固定買取制度の普及が妨げられるとして今回の措置にいたったと考えられます。今後は設置予定の土地と発電設備を期限にまでに準備できない場合は認定を取り消し、また有識者によって固定買取制度の改善が図られる見通しになっています。
ニュースを読むポイント:固定買取制度
2012年7月1日から開始した固定買取制度は、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)によって発電した電気エネルギーを一定期間国が決める価格で電気事業者から買い取るというものです。
システム出量 | 10kW以上 | 10kW未満 | 10kW未満 (ダブル発電) |
---|---|---|---|
売電価格 (1kWhあたり) |
37.8円 (36円+税) |
38円(税込) | 31円(税込) |
固定買取期間 | 20年間 | 10年間 | 10年間 |
太陽光発電は上の表のように売電価格と固定買取期間が決まっています。認定を受けた電気事業者が発電した電気エネルギーは固定価格で買い取られ、電気を使用する側が賦課金という形で負担することになっています。
制度の設計段階から高い買取価格が問題視されていましたが、買取価格が決まらないとソーラーローンなども普及しにくいと判断されたため不十分な形のまま固定買取制度がスタートしたという事情があります。
高い売電価格をターゲットにした悪質な発電事業者が増え続ければ、再生可能エネルギーの固定買取制度の存続も危ぶまれます。国全体の電力問題を解決することを目的に設立された制度ですが、電気を使用する国民が負担のみを強いられるのは設立の目的から外れています。
設置予定の土地や発電設備の調達など認定前の申請段階で発電事業について審査を行ったり、事業の認定を受ければ一定期間内に運転開始を義務付け第三者によるチェックを入れるなど、今後の太陽光発電の普及は固定買取制度の改善にかかっています。
参考リンク
・資源エネルギー庁:なっとく!再生可能エネルギー「固定買取制度」